ギル・エルブグレンについて
彼の自画像
イングリッシュペイシェント、1997年のアカデミー賞に輝いた作品には
こんなシーンがある。ぶっきら棒な主人公、アルマシーが書いた論文を
友人の奥方であるキャサリンが非常に形容詞の少ない論文と評した時のことだ。
「どう形容しようと物は物です。大きな車、遅い車、運転手付きの車。
車は車です」
アルマシーの素っ気のない言葉にキャサリンはこう返す。
「愛は?ロマンティックな愛、プラトニックな愛、全然違うわ」
どちらがまことであるかはさておき考えさせられるシーンだ。個人的な意見では、笑顔についてはキャサリンの立場をとる。蠱惑的な笑顔、あどけない笑顔、溌剌な笑顔。
エルブグレンの描く女たちは溌剌とした笑顔よく似合う。
青い空、白い雲、眩い女
(anchor A wow)
エルブグレンの描く女の多くがピンナップガールというヌードや水着姿など、エロティックを売りにしたイラストのジャンルとして評価されている。しかし、今日評価されるべきはその朗らかな表情だろう。
あどけないというにはあまりにも大人びていて、蠱惑的というには屈託がなさすぎる。
そんな表情を出せる人間は中々少ないのではないだろうか(少なくとも私は一人しか見かけたことがなく、その女性はモンゴル系アメリカ人である)
健康で笑顔に満ち、日常生活(趣味やレジャーを含む)営む女たちのポスターは
溌剌とした笑みを浮かべて、私たちに活力を与えてくれる。